この季節になると頭を悩ませている人も多い「役員決め」。決め方は数々あれど、どれもすんなり決まったためしはないですね。特に立候補制ともなると役員決めの会場はみんな下を向いてだんまり・・・・・。なんて状態をよく見かけます。
ここではそんな時に役立つ、あくまでも正攻法でない効果的な餌と、ばら撒くコツをお教えします。
まずは探そう、役員の子供についてくる暗黙の特典
どの園にも大抵「役員になるとついてくるお得なこと」が一つや二つあったりします。園にも寄りますし、保育園と幼稚園でも違うと思いますが、まずは探してみてください。
そのような特典は公約になっていないことが多いものです。なんとなく通例になっているのです。ですからその通例を園に掛け合い公約にしてもらいましょう。そして役員決めの席でアピールしてください。
まあ、書いておいてアレですが、そんなことじゃ立候補は集まらないんですよね~。わかります。しかしこれはまず第一の餌です。役員決めの場で不確かな口約束をするわけにはいかないので必ず園に了解を取り確実な特典にしておきましょう。
新たな特典をとりつけるべく園と交渉
次の餌は「新たな特典」です。とはいえそれほど大胆な特典をつけるわけにもいかないし、それでは園との交渉も難しくなります。なのでちょうど良いころあいの餌をいくつか挙げ、順を追って解説していきます。
- 1.運動会で役員観覧席(本部テントに近い場所など)を設けてもらう。
- 2.学芸会、発表会などは一足先に会場入りして子供と記念撮影が出来る。
- 3.バザーは最初の開店前の10分間、役員が買い物できる。
- 4.年度末は慰労会としてみんなでおいしいランチを食べる。
- 5.最終手段としての子供の役得
1.運動会での特典
すでに特典として挙げている園もあるかと思いますが、もしまだならぜひ特典に加えてください。
運動会の場所取りは朝早くから始まりますが、ママ達はお弁当を作りで忙しく、早朝の場所取りは避けたい事柄です。しかも運動会は比較的会場が広いうえ、役員はテント内での仕事も多く、テント脇に役員席があっても他の保護者からのブーイングは出にくいといえます。
大体運動会なんてシートに座って観覧するのはおじいちゃんおばあちゃんくらいのもの。みんなビデオ片手にグランド周辺に集まります。一見派手な餌ですが実害が少ないところがポイントです。
2.発表会前の特典
これ「役員席をつくったほうがいいんじゃない?」と一瞬でも思ったあなた。保護者は運動会は許してくれても学芸会の特典席は許してくれません。
学芸会はいわば園生活のメイン行事といっても過言ではなく、ここは絶対に譲ってくれないのです!でも開始前の写真撮影なら大丈夫。恐らく多くの保護者が衣装を着た(衣装が乱れる前の)我が子と写真を撮りたいと願っています。
「十分うらやましいけど妬むほどじゃない」この微妙なラインが役員特典での大事なポイントです。
3.バザーでの特典
バザーがある園に限りますが、役員は売り子になることが多く、好きなものを買えないこともあります。
バザーは商品を集めたり値札をつけたり並べたり袋に入れたりお愛想を言ったり・・・、と仕事量の割に実入りが少ない行事。ここは役員に残り物を売るような事態にならないように、先に短い時間の役員専用お買い物タイムを取りましょう。
目玉商品のゲットも大目に見て割り切ってください。運よく常識ある人が集まっていれば目玉商品は残しておいてくれるはずです。
4.慰労会の特典
さてお次はちょっと厄介です。資金面で園に援助してもらうことも視野に入れてください。
そして足りない分をバザーの売り上げ、保護者会費などから出すことを保護者に了解してもらうことになります。保護者には毎年役員決めが難航し、保護者会運営に支障をきたすという説明をして了解してもらいます。
バザーがなければ幼稚園行事での出費を切り詰める方向に持っていくしかありません。これはお金が絡むので園だけでなく、会長も交えてきちんと話し合う必要がありますが、(もしあなたが会長なら園との交渉はあなたにかかっています。)
案外保護者会にも裏金・・・、いや、自由に変動できるお金があったりします。そうでないと業者の値上がりや、突然の事態(例えば運動会でけが人が出てしまったときのお見舞いなど)に対応できません。会計、会長、園で話し合い、慰労会の予算をひねり出してみましょう。
5.子供への特典
5はなぜ最終手段なのかついて先にお話しましょう。確かに子供に何か特別な役割を持たせるというのが保護者にとっては一番です。役員立候補者が一番集まりやすい餌なのかもしれません。
でも園は保護者のためのものでなく、あくまでも子供達のもの。例えば学芸会の主役をどのように決めるかは各園さまざまでしょうが、なりたい役になれた、なりたい役になれなかった、どちらの経験も子供達にとっては糧になります。その決め方がフェアであれば子供達は自分の気持に折り合いをつけることの大切さを学ぶチャンスになります。
もしもそれが最初から主役が決まっていたとしたらどうでしょう。特典によって主役になった子は親の行動によって自分の役が決まったことになり、特典のない子は最初からフェアではないレースを押し付けられ、人生に対して不信感を持ってしまいかねません。
それでもどうしても強烈な餌が欲しい!そんな時は出し物の題名を言う役などはどうでしょう。最初に前に出てきて「これから〇〇組の 浦島太郎 の劇を始めます!」って言う役です。これなら特別感があるし、ギリギリ他のお子さんも納得できるんじゃないかなと思います。
あとは年長に限り、卒園式の花束贈呈や、謝恩会での始まりの挨拶、卒園の呼びかけで一人で言う場面を作るなど、主役級の目立ち方から一歩下がったところに役員特典の落としどころを見つけてください。
理想の形、ホントのところ
保護者会役員は他の誰でもなく子供達のためなんですよね。間違えてしまいがちですが「子供の為」ではなく「園の子供達のため」なんです。
そういう心で役員をやってみようと思っている人のお子さんは、結果として親を見ているんです。逆に「特典があるからやる」といった親の態度も必ず見ています。子供の目は大人よりも本質を見抜く力があります。ただそれを口に出して表現できないだけ。
子供達のために、自分の出来ることを協力しよう、さらにそこから何かを得る経験を目の当たりにして子供の価値観は出来上がっていきます。
育っていく中で人に対して自然と「出来ることは手を貸してあげよう」という感性が育っていくんです。この感性は大人から「助け合いなさい。」と教えられて身につくものではなく、価値観として自然と自分の中に取り込まれていくものなんです。そうしてその価値観と共に成長していきます。
だから本来なら役員を引き受ける・・・、ということは子どもの価値観を作っていく上で物凄いプラスになるんですね。目に見える特典なんかより、一生の価値観を子供に持たせてあげられるって考えたら(もちろん一度役員やりゃ価値観完成!ではないにしろ)これ以上の特典はないはずなんです。
ま、それが本音ですし、役員会の席でこんなことを話したからといって立候補者が集まるなんてどこの理想郷だ!?という感じですね、それが現状です。ちなみに私は最初の年に理想論を話して役員を募ったら保護者に失笑を買ったのでおすすめしませんね。(笑)